TOEIC英語学習ナビ [TOEIC編]

TOEIC編

Part 5-7M 問題を解く順番

リーディング問題は解き残して普通

リーディングセクションでは、ほとんどの受験者が、問題をやり残します。スコアが800点、900点以上になってもそうです。各パートの解説で述べた通り、しっかりと理解しながら、最後まで解けるのは、950点以上になってからです。

その理由は、リーディングでは、読むスピードが実力だからです。ですから、速読スピードを上げる練習をするわけです。実力がつくと、問題のやり残しが減り、スコアが上がります。

しかし、対策本や対策講座では、「やり残しを減らすために、時間をかけて考えれば解けるパート7から解き、残り時間が20分になったら、考えても知識がなければ解けないパート5、6の順で解く」といった指南がされています。

順番を変えて解くことは禁止されていませんが、得策ではありません。

「スコアが、100点も落ちた」という相談をいただくことがあります。詳しく聞いてみると、「パート7が解き終わらないので、今回は先に解き、パート5を最後に解いた」のだそうです。パート5の体感を聞くと、「テストの終了時間が気になり、いつもより速いペースで解こうと焦っていた」と言います。

リーディングセクションは、「パート5 → 6 → 7S → 7M」の順に難易度が上がる設計です。難易度が上がるということは、読むのに時間がかかるということです。これまで、比較的易しい問題に時間をかけて解いていた人が、読むのに時間がかかるパートに時間をかけて、易しい問題にかける時間を減らしたらどうなるでしょう?

当然、実力以下のスコアになります。TOEICの測定誤差(50点)の幅を越えて、スコアが下落する人の多くは、これが理由です。テストの設計を無視して、問題を解く順番を変えても、逆効果なだけです。さらに、問題を解く順番を変えれば、マークの順番を間違える危険性も高まります。

リーディング問題はパート順に解く

対策本や対策講座の「パート7は、時間をかけて考えれば解ける」という解説にも、無理があります。パート7Sでは、最初の問題(2つの設問)から、最後の問題(5つの設問)に進むにつれて、難易度がどんどん上がっていきます。少しくらい解く時間を増やしても、速読スピードが足りなければ、解ける問題数はさほど増えません。

また、「パート5、6は、考えても知識がなければ解けない」という解説には、「選択肢を見て、知らない単語ばかりだったら、考えても解けないからパスする」という説明が続くのですが、選択肢に難易度の高い単語だけが並ぶ問題は、パート5の最後の数問くらいです。まして、パート5の短文(1文)ですら、英文を読むのをパスしている人に、パート7の長文が読めるはずがありません。

リーディングセクションは、パート順に解くのが一番です。

ここまでの説明通り、リーディングセクションでは、すべてのパートで、最初に問題文を一気に読みます。読む量は、「短文」「長文」「1つの文書」「2~3つの文書」と増えていきます。パート順に解けば、「短文」のパート5が、ウォーミングアップになります。ここをテンポよく読んでリズムに乗り、読むスピードを上げていくのです。

これは、仕事をこなす順序にも似ています。仕事は、「メモの処理」「Eメールの処理」「資料を読む」「複数の資料を読んで情報を整理する」といった具合に、簡単なものから始めて、時間がかかるものに進む人が多いはずです。仕事で慣れている順番で解けば、まさにTOEICがビジネス英語の練習試合になります。

なお、前述の通り、問題を解き終るのは950点以上ですから、それ以下では、解き終ることではなく、解き残しを減らすことを目標にすべきです。また、初級者の方ほど、易しい前半パートに時間をかけるべきです。

事前に練習問題で各パートを解く時間を測り、そのペースを目安に受験してください。実力は、受験前の練習でつけるもので、試験当日に、いきなり実力以上のことをしようとすると失敗します。