TOEIC英語学習ナビ [TOEIC編]

TOEIC編

Part 3-4 設問の先読み

設問の先読みは逆効果

対策本や対策講座では、パート3「会話問題」、パート4「説明文問題」の放送を聞く前に、問題用紙に記載されている設問や選択肢を読む、いわゆる「先読み」を指南していますが、これはNGです。

そもそも、この「先読み」のテクニックが登場したのは、TOEICの最初の問題形式のときです(TOEICの問題形式は、これまでに2回変更になっています)。この当時のパート3は、現在より放送文が短く、設問が1セットのみでした。

1つの設問と4択の選択肢で、計5文ですから、完全に先読みすることも可能で、設問を覚えている状態で、放送を聞くことができました。つまり、解答に必要な情報だけを選択して聞き取るテクニック(selective listening)が使えたのです。

しかし、2006年に問題形式が変更(1回目の改定)され、放送文の長さが長くなり、設問が3セット×4択の選択肢(計15文)になりました。こうなると、放送が流れる前に、先読みを終えるのは至難の業です。設問を読んでいるうちに放送が始まれば、大事な情報が含まれている冒頭部分を聞き逃します。

何とか読み終えても、15文を覚えていることはできないので(一度読んだだけで15文を覚えられる人は、瞬間記憶にたけた特別な人です)、引き続き設問を目で確認しながら、放送を聞くことになります。実際には、読みながら聞くのはできないので(これができるのは、900点以上の人です)、読むことに意識がとられ、情報を聞きもらすことになります。

先読みをしている人は、自分でTOEICを難しくしています。

先読みテクニックの弊害

1回目の問題形式の改定理由は、2回目と同様に、「よりオーセンティックなテストへの変更」でした。見方を変えれば、より実際的な英語力を測るため、「必要な情報だけ選択して聞き取る方法ができる形式からの変更」をしたということです。

先読みをしている人は、リスニング力アップの道を遠回りしています。取引先とのミーティングや、取締役のスピーチを聞く際などには、設問も選択肢もありません。実際のコミュニケーションに、「先読み」は存在しないのです。TOEICでも、普通の聞き方をして、内容を理解できる実力をつけるべきです。

では、設問はいつ読むべきでしょうか?

それは、放送(問題文)が流れた後です。問題文に続いて、3つの設問が読み上げられますから、それを解答時間の目安として解いていきます。

もちろん放送文が流れる前の時間に、設問を見て構いませんが、軽く目を通すくらいの感じで、特に覚えようとしないことです。また、放送が始まる前に見るのを止めて、放送の出だしに集中してください。

放送文で話される表現の意図を問う設問もありますが、設問に記載の表現を覚えておく必要はありません。会話や説明の流れをつかむことで解答できます。

「これまで先読みしてきたから、これを止めるとスコアが下がるのが不安」という人もいるかもしれません。その場合は、練習問題を使って、先読みしないで解くことに慣れてください。そのための問題集です。実際には、先読みしても、しなくても正答率に変化がないことに気づくはずです。

しかも、先読みを止めると、100%リスニングに集中できますから、パート3、4を解くのが楽になります。先読みを止めると、ストレスなくTOEICが受験できるようになります。