TOEIC英語学習ナビ [実践編]

実践編

リーディング練習(1)

スピードを意識して読む

TOEICスコアは、一般的にリスニングが先行して伸びます。その理由は、前述の通り、語彙が比較的易しく、表現やリズムに慣れることで、現在持っている知識をリスニングのスキルに転化できるからです。さらに、通勤時間を活用して、毎日、英語を聞くことで、スキルの転化に不可欠な時間を容易に確保することができます。

一方、リーディングスコアの伸びには時間がかかります。その理由は、語彙の難易度が上がるため、不足する知識量を補う必要があること。かつ、求められるリーディングのスキルを獲得するには、速読スピードを飛躍的に上げる必要があることです。しかも、「読んでいると眠くなる」ためか、通勤時間を活用する人も多くありません。

ですから、これから英語学習を始めようという人は、取り組みやすく、成果の出やすいリスニングのトレーニングを先行して構いません。

しかし、目標とする英語力(スコア)に向けて、リーディング力アップが必要という人は、ある程度の覚悟を持って、毎日トレーニングすることが不可欠である(リスニングほど甘くない)と思ってください。リーディング力アップのためには、毎日、英語を読むことが基本です。そして、読む際に意識することは、スピードです。

実力診断

まずは、現在の実力を診断してみましょう。次の英文を、意味を理解しながら、何秒で黙読できるか測ってみてください(わからない単語は飛ばして読んで構いません)。

<英文>

A lot of people in Asia may laugh at North Americans and their bicycle helmets. What they may not understand, though, is why helmets are mandatory in many cities. Cycling on sidewalks is illegal almost everywhere. The sidewalks are for pedestrians and scooters ridden by the disabled.

いかがでしたか? この英文は、全部で47語です。TOEICリーディング問題を解き終る(950点以上)には、1分間に150語以上の速さで読む必要がありますから、18秒以内に読むことが目標です。大学入試センター試験を解き終る速読スピード(120語/分)と比較すると、25%のスピードアップが必要です。

※速読スピードの計算方法 =「英文語数」÷「読むのにかかった秒数」× 60

  • センター入試:総語数約4,000語(試験時間80分)→ 速読スピードの目安120語/分
  • TOEIC :総語数約6,800語(試験時間75分)→ 速読スピードの目安150語/分

もちろん、速く読んでも、内容を覚えていなければ、設問に答えることはできませんから、やみくもにスピードだけを上げることに、意味はありません。といっても、辞書を片手に読んでいては、スピードが上がりません。現在の自分の速読スピードがどの程度なのか、ときどきストップウォッチを片手に(秒数を測って)読むことで、「スピードに意識を向ける」ことが必要です。

なお、TOEICの音声スピードは、160~180語/分ですから、速読スピードを上げることで、リスニングのスピードについていくのも楽になります。

<英文の語句解説>

a lot of「たくさんの」。laugh at「~を笑う」。North Americans「北米人」。bicycle helmet「自転車用ヘルメット」。understand「~を理解する」。though「けれど」。helmet「ヘルメット」。mandatory「義務の」。cycling「自転車に乗ること」。sidewalk「歩道」。illegal「違法の」。almost everywhere「ほとんどどこでも」。pedestrians「歩道」。scooter「スクーター」。ridden by「~が乗った」。the disabled「身体障害者」。