TOEIC英語学習ナビ [実践編]

実践編

語彙と文法力の強化(2)

語彙の定着

前項で、音読することで、聞いて・読んで「わかる単語や表現」を増やすことができ、英語の語順(文法体系)で「聞ける・読める」英文が増えると説明しました。

これに関連して、「練習した英文は聞き取れるようになったが、初めての英文は聞き取れない」という質問をいただくことがあります。練習した英文が聞き取れるようになったわけですから、さらに練習して聞き取れる英文を増やしていけば大丈夫です。しかし、「本当に力がついているのか」と不安になる気持ちはわかります。

そこで、英文を音読することに加えて、練習問題を解き、英語素材(洋画・ニュースなど)を聞いてください。初めての英文の中に、音読した語彙や表現が登場して、聞き取れる割合が増えていくことが実感できます。練習したものが、練習していないものに登場して、それを理解できたときに、記憶が定着するのです。これが「わかる語彙」を増やす基本です。

「単語を増やすには、同じもの(単語集やテキスト)の反復が効果的では?」と思われるかもしれません。しかし、辞書をひくと、ひとつの単語には、複数の意味が載っています。原義が一緒でも、文脈によって意味が異なるためです。文脈(文章)ごとに意味が違うのですから、反復だけでは、完全には習得できません。そこで大事になるのは、練習したものと違うニュアンスで使われている英文にふれることです。

様々な文脈で同じ単語に接していると、言葉の原義が自然に身につき、自分でも使えるようになります。これが、「使える語彙」を身につける王道です。

単語集について

「難易度の高い単語を覚えるには、単語集を覚えるのが一番では?」という意見もあるかと思います。しかし、単語集で覚えたとしても、前述のように、覚えたものを定着させるためには、「初めての英文で同じ単語に再度出会う」「違う文脈で同じ単語が使われている英文にふれる」という作業が必要です。そうでないと、覚えても短期間で忘れてしまいます。

単語集を使うのであれば、暗記用ではなく、確認用に使うのがおすすめです。具体的には、単語集の知らない単語にチェックするのではなく、知っている単語にチェックすることで、「初めての英文で同じ単語に再度出会う」「違う文脈で同じ単語が使われている英文にふれる」作業をするのです。

知らない単語は、あまり時間をかけず意味の確認程度にとどめます。他のテキストや問題集を3ケ月~6ケ月学習したら、再び単語集をチェックしてみると、知っている単語が増えているはずです。

文法書について

単語・文法の解説が載っているテキストやTOEIC問題集を使っていれば、単語・文法の特別な学習は不要です。一方で、学習を続けていると、「文法力をもう少し高めたい」という気持ちになることがあります。

そんなときは、高校1年生程度までの基本的文法がコンパクトにまとめられた「なるべく薄い」文法書を一冊用意して、1~2週間程度短期間で、通読することをおすすめします。知っていることを「確認」することが目的ですから、知らないことも読むにとどめ暗記はしません。

それでも、頭の片隅に知識が残りますから、普段のトレーニングでテキストや問題集の解説を読む際に、「ああ、あのことか」と思い出されます。半年か1年後くらいに、また同じ文法書に目を通すと、進歩(文法が定着している)が確認できます。