TOEIC英語学習ナビ [実践編]

実践編

リスニング練習(2)

聞き取れない英語は音読する

「リスニング力アップのためには、毎日、英語を聞くことが基本です」と説明しましたが、「同じ英文を聞き続ければ、聞き取れなかったところが、自然に聞き取れるようになってくる」ということではありません。聞き取れなかった部分は、何度聞いても聞き取れません。

その理由は、聞き取れない部分は、そもそも単語を知らないか、単語の「文字」を知っていても、正しい「音」を知らないからです。知らない「音」は、雑音として無視されますから、聞き取れません。そして、聞き取れていないので、何度聞いても正しい音を覚えられないのです。

聞き取るためには、知っている単語の「文字」と結びつけて、正しい「音」を覚える必要があります。同様に、知らない単語の「文字」を確認して、正しい「音」を覚える必要があります。その方法が、「音読」です。

音読の仕組みは、こうです。

テキストを開いて、英文を見ながら、CDなどで、

  • ①ネイティブ・スピーカーが音読した音声を聞く。
  • ②その音声を真似て、自分で音読する(③同時に、自分の音読の音声を聞く)。

音読をしているとき、脳では次の作業が行われます。

  • ①ネイティブ・スピーカーが音読した音声を聞き、その情報を「ウェルニッケ中枢」(理解脳)に送る。
  • ②聞いた音を真似て音読することで、「ウェルニッケ中枢」に入れた情報を、「ブローカ中枢」(運動脳)に送る。
  • ③音読した自分の音声を聞き、その情報を「ウェルニッケ中枢」に送り、最初に聞いた音(ネイティブ・スピーカーの音)と照合する。

最初は、ネイティブ・スピーカーが話す「正しい音」を上手に再現できませんが、何度も繰り返して音読することで、正しい音を再現できるようになります。これが、正しい音を覚える方法です。

知っている単語から表現に慣れる

TOEICリスニング問題の英文は、90%が中学校の単語です。それなのに、英文が聞き取れない2つ目の理由は、会話でよく使われる表現の形を知らないことです。

例えば、here, you, go という中学校で習う3つの単語をすべて知っていても、Here you go.「(物を手渡して)どうぞ」という表現(意味)で知らないと、瞬時に理解することができません。

ところで、Here you go. という表現を理解できるようになるのと、TOEICリーディング問題に登場するmeticulously「細心の注意を払って」、volatile「変わりやすい」、fluctuation「変動」といった難易度の高い単語を暗記するのでは、どちらが簡単でしょう?

前者の方が、はるかに簡単なはずです。その理由は、すでに知っている単語の組み合わせだからです。しかも、リスニングできるようになるには、完全に暗記をしなくても、聞いて理解できる程度に馴染むところから始めれば良いのです。

その方法は、前述の音読です。ただし、音読の前に、日本語訳や英文の解説(単語・文法)を読んでおきます(暗記する必要はありません)。日本語訳を見れば、「どうぞ」と書いてあり、解説を読めば、Here you go.「(物を手渡して)どうぞ」と書いてあります。これ読んだうえで、Here you go.という表現を意識して音読すれば、聞いて理解できるようになります。