TOEIC英語学習ナビ [実践編]

実践編

リーディング練習(3)

速音読をする

前項(直読直解の練習)で、「言語は音声に優位性があり、声に出すとイメージがわき、意味が定着する」と述べました。日本語は、0才で聞き始め、1才で話し始め、4才で読み始め、5才で書き始めます。つまり、音で意味を理解し、次に音と文字を一致させたわけです。そのため、黙読していても、頭の中の音声領域が反応しています。

この原理を応用すると、速読スピード(スピード処理力)を飛躍的に上げることができます。その方法は、英文を速く音読する「速音読」を行うことです。

直読直解の練習で、チャンク単位で、英文を音声化し、その音声と意味(日本語訳)を結びつけました。しかし、英語を黙読して、英語のまま理解しようとしても、イメージが浮かばないか、日本語訳が浮かんでしまったという人もいるはずです。

この理由は、「英語回路が出来ていない」ことです。

東北大学の川島隆太教授の研究によると、日本人が後天的に英語力を獲得すると、日本語とは違う脳の領域に、英語を使う回路が形成されるのだそうです。この英語回路は、英語の文法体系を脳のネットワークに組み込むことで構築されます。

まだ、英語回路が出来ていない状況では、英語のまま理解できないか、日本語の回路を使ってしまうということです。

では、英語回路を作るにはどうしたらいいのでしょう? その方法として、有効なのが「速音読」です。音読すると、脳が活性化します。音読スピードを上げるほど、脳が活性化します。母国語と違った文法体系(語順)の文章を音読すると、さらに脳が活性化します。これで、英語の文法体系を脳のネットワークに組み込むことが出来ます。

速音読の練習方法

スラッシュ・リーディングを行った英文を使って

  • ①CDなどで読み方を確認した後、音読します。
  • ②秒数を測りながら、速音読します。

ネイティブ・スピーカーの音読スピード(CDなどの音声スピード)以上を目標に、自身の最高スピードで音読します。この際は、発音や音法が多少あいまいになっても構いません。ストップウォッチなどでタイムを測り、記録更新を目指して、3回速音読してください。繰り返すたびに、速く音読できるはずです。

実際に、下記の英文を3回速音読した後で、今度は、音読せずに「黙読」のタイムを測ってみてください。18秒以内で黙読できれば、リーディング問題が解き終る150語/分。9秒以内になったら、ネイティブ・スピーカーと同じ300語/分のスピードです。

<英文>

A lot of people in Asia may laugh at North Americans and their bicycle helmets. What they may not understand, though, is why helmets are mandatory in many cities. Cycling on sidewalks is illegal almost everywhere. The sidewalks are for pedestrians and scooters ridden by the disabled.

普段の練習でも、速音読の前後に黙読タイムを測ると、成果が実感できます。また、速音読した英文は、リスニングをしても、ゆっくりと理解できるようになります。その理由は、英語の文法体系(語順)が脳のネットワークに取り込まれるからです。語順が脳に取り込まれる過程で、単語や表現もあわせて定着します。