TOEIC英語学習ナビ [入門編]

入門編

英語力を伸ばすトレーニング

「スピード処理力」と「即応力」を養成する

TOEICに対応できる、あるいは、ビジネス場面で英語でコミュニケーションできる力を身につけるには、「スピード処理力」(速読速聴力)と、「即応力」(表現のストック量)を養成することが必要です。

TOEICを受けて、「リスニングのスピードについていくのが大変」「リーディングの問題が最後まで読み終わらない」のは、「スピード処理力」が不足しているからです。「パート5(短文穴埋め問題)で、答がすぐに浮かばない」のは、「即応能力」が不足しているのが原因です。

こうした力をつけるには、「勉強」ではなく、「トレーニング」を始めることが必要です。

TOEICの問題集を見て、知らない単語を暗記しようとするのが、知識の定着を目指す「勉強」です。これでは、大学受験には対応できても、TOEICには対応できない(=ビジネスには通用しない)のは、前述の通りです。

ビジネスに通用する(=TOEICに対応できる)力をつけるには、知らない単語を暗記しようとするのではなく、英文を「聞ける・読める」ように、英語の表現を「話せる・書ける」ように、反復練習することが必要です。これが、スキルの習得を目指す「トレーニング」です。

この際に、注意すべきは、「暗記してから、反復練習する必要はない」ということです。すでに知っている知識も、忘れてしまった知識も、知らない知識も、すべてトレーニングよってスキル化することが可能です(ただし、後者になるほど、反復の回数が必要です)。

  • 現在持っている知識を、スキル化する。
  • 忘れてしまった知識を思い出して、スキル化する。
  • 知らない知識を吸収しながら、スキル化する。

トレーニングの原理とメリット

学習内容の定着は、ゆっくり行っても不正確な状態(①)からスタートします。何度か学習することで、ゆっくり行えば正確な状態(②)になりますが、このままではTOEICのスピードについていけないか、スピードについていこうとすると不正確な状態(③)になります。

これを、スピードについていける(④)にすることがトレーニングの目標です。その方法は、スキル化されるまで、くり返し練習すること(反復練習)です。

training

こうした反復練習には、少し時間がかかります。しかし、時間をかけるメリットがあります。

学生時代に覚えた単語は、ほとんど忘れてしまったという人でも、掛け算の九九は、覚えているはずです。覚えているだけでなく、今でもすぐに使える。そして、九九は、70才になっても、80才になっても、小学校のときに覚えたのと同じ速さでできると言われています。

九九は、一の段から始めて、最初はゆっくりでも間違いますが、繰り返し練習することで、速く・正確にできるようになったはずです。英語学習も、同じ原理で行えば、長期記憶を作ることが可能で、「覚えては忘れ」を繰り返さずに済みます。

記憶の原理はこうです。反復練習によって、脳に繰り返し同じ情報を通します。すると、脳の神経線維の一本一本が太くなり、かつその数が増えます。同じ刺激を何度も加えると、その情報を処理する回路が太くなり、情報を速く通せるようになります。

そして、これで十分だと思った時点より、さらに繰り返すと神経線維に壊れないネットワークが完成し、忘れなくなります(over learning)。

脳神経線維を太くするには、刺激の数と種類が多いほど効果的です。読む(目)、聞く(耳)という受信行為による知的記憶(intellectual memory)では、脳機能のごく一部しか活性化しません。これに、話す(口)、書く(指)という発信行為を加え、4器官を機能的・立体的に使うと、運動記憶(motion memory)になり、言語機能が100%活性化します。