TOEIC英語学習ナビ [実践編]

実践編

英語トレーニングを始める

練習問題を解くだけでは不十分

TOEICを受験する人の多くが、練習問題を解くだけの学習です。しかし、現在600点未満の人であれば、練習問題を解いても、間違った問題の方が多いはずです。

間違えた問題は、解説を読むことになるわけですが、そこには、正答の理由だけでなく、他の選択肢がなぜ間違いかが書いてあります。読み続けると、自分が忘れてしまっていたこと、知らなかったことの多さに気づき、「こんな細かいことまで覚えないと英語できるようにならないのか」と、絶望的な気持ちになるかもしれません。

問題を解いても正答率が低いのは、英語の基礎力が不足しているからです。基礎力は、間違った問題の解説を読んでも身につきません。ですから、練習問題を解くだけの学習は、非効率です。学習の重点とすべきは、「スピード処理力」(速読速聴力)と「即応力」(表現のストック量)を身につける基礎トレーニングです。

TOEICは、こうした基礎力が、ビジネス場面でどの程度使えるかを、各パートの問題形式で試しています。ですから、問題を解くのが重点ではなく、基礎力を上げることが重点でなければならないのです。

もちろん、これから初めてTOEIC受験するという人は、問題形式に慣れるために、毎日問題を解いて構いません。しかし、問題形式に慣れたら、練習問題を解くのは、週に1度くらいにして、残りの日は、基礎トレを行ってください。野球で言えば、試合形式の練習は、週1回で、残りの日は、素振りやランニングをしているイメージです。

基礎トレ用のテキストを用意する

英語の基礎力を上げるには、良質なインプットが必要です。その方法は、英文を「音」「文字」「意味」を伴ってインプットすることです。

聞くだけ(音だけ)のインプットでは、知らない単語は聞き取れず、意味を推測する余裕もありませんから、まさに「聞き流す」だけで、ほとんど力はつきません。また、知っている単語でも、英語の音は変化し、文字通りには読まれませんから、英文を見ずに聞いているだけでは、リスニング力は向上しません。

読むだけ(文字だけ)のインプットは、英文の知っている単語から、知らない単語の意味を推測できる分、聞くだけよりは効果があります。しかし、推測だけでは、不正確か間違った理解になる危険性があり、リーディング力向上の効果は限定的です。また、当然ですが、英語の音を覚えることができません。

ですから、良質なインプットのためには、CDなどの音声(音)、英文(文字)、日本語訳と解説(意味)がセットになっているテキストが必要です。

基礎トレ用のテキストは、次の①~③を満たしていれば、何でも構いません。

  • ①音  → ナチュラル・スピード(160~180語/分)の音声(CDなど)
  • ②英文 → 語彙レベルが大学受験~TOEICレベル(3,700語)のもの
  • ③意味 → 日本語訳、単語・文法の解説があるもの
  • ④その他→ 重要表現やチャンク表記があるとベター

何でもいいと言われても困るという人は、TOEIC公式問題集のパート3、4を使って、「リスニング練習」を実践してください。同様に、パート7を使って、「リーディング練習」を行ってみてください。これで、TOEICの英文難易度が分かりますから、あとは、書店の語学書のコーナーなどで、テキストを吟味してください。

英語の基礎力を上げる練習用ですから、タイトルにTOEICとついている本である必要はありません。音読用のテキストや、NHKテキストでもいいでしょう。英語が苦手で、ひさびさに学習をするという方は、TOEICより、やさしい英文のテキストから始めて、ステップアップしても構いません。

基礎トレ用ですから、TOEICに役立つというより、毎日練習しても良いと思える(飽きない)内容かどうかがテキストを選ぶポイントです。BizComのスクールや通信講座で使用しているオリジナルテキストも、内容重視で作成しています。

テキストの使用は、1日1英文を使っての練習が基本です。1回の練習は、10~30分以内。1つの英文を、2~3回練習して、3ケ月程度で1冊を終えるペースです。

もちろん、音読してみたら、「英文の内容がつまらなかった」「CDの音声が気に入らなかった」ということもあります。そんなときは、3ケ月をまたずにテキストを変えてください。自分にあった道具を選ぶのも、練習のうちです。