TOEIC英語学習ナビ [実践編]

実践編

リスニング練習(3)

リズムに注意して音読する

前述の通り、ネイティブ・スピーカーが、The boys will meet the girls.という英文を発音すると、The boys will meet the girls.のように、太字の単語boys / meet / girls(内容語)が強めに長く発音され、太字になっていない単語(機能語)は比較的弱く短く発音されます。

英語はこのように、強く読まれる箇所とそうでない箇所が交互に現れる「強弱リズム」を持っています。個々の単語を正しく発音できても、強弱リズムが身についていないと、正しい音を聞き取れませんし、正しい音を聞き取れないと、発音も向上しません。正しい音が聞き取れるようになると、発音も良くなっていきます。

音法に注意して音読する

強弱リズムとともに大事になるのが、「音法」です。音法は、自然なリズムで話す際に起こる、音の変化の法則です。

・リエゾン(連結)

例えば、take itは、take「テイク」のk(e)の音と、it「イット」のiの音がつながって、ローマ字読みの「キ」のように変化し、「テイキット」と話されることがあります。単語の最後が子音(母音以外の音)、次の単語の最初が母音(日本語の「あ、い、う、え、お」に近い音)の組み合わせで、起こりやすい現象です。

・リダクション(消音化)

例えば、not that「ナット・ザット」は、no(t) thatのようにはじめの単語のnotのtがほとんど発音されず「ナッ・ザット」と話されることがあります。単語の最後が子音、次の単語の最初の子音の組み合わせで起こりやすい現象です。

音法をマスターするには、テキストを見ながら、ネイティブ・スピーカーの音声を聞き、音法に気づいたら、○印(リエゾン)、( )印(リダクション)をつけます。それから、音法に注意して、音読するのが効果的です。

音読した英文を聞く

音読練習した英文の音声(CDなど)を、移動中に聞くと定着効果があります。英文がわかっていますから、集中して聞く必要はなく、無意識に「音を絵にする」つもりで、流すように聞きます。

しかし、仕事帰りの通勤電車などで、だまって聞いていると眠くなるかもしれません。眠気を防止するには、声に出しながら聞くことです。声に出すことで、「聞ける」(スピード処理力)だけでなく、「話せる」(即応力)を養うことができますから、一石二鳥です。

・リピーティング

一般的なテキスト(CD)には、重要な単語やフレーズ、基本構文が読まれるコーナーがあります。単語やフレーズ、基本構文が読まれた後で、自分でも声にして話すのが「リピーティング」(repeating)です。リピーティングは、テキストを見ずに、耳を頼りに行います。

・シャドウイング

テキストの本文(英文)の音声に、少し(0.5秒くらい)遅れて、影(shadow)のようについていくのが、シャドウイング」(shadowing)です。リピーティングとの違いは、CDにかぶせるように声に出していくことです。

シャドウイングは、スムーズに音読できるようになった英文で行います。特に、初級者の方は、音読していない英文で挑戦しても、上手にできないので挫折感だけが残ります。最初は、音を真似ることに注力して行い、慣れてきたら、会話やアナウンスの場面を思い浮かべて、自分が話しているつもりで行いましょう。

リピーティング、シャドウイングには、音を覚えることで話せるようになる効果だけでなく、パート2の解き方で説明した「リテンション力」をつける効果があります。そのため、話された英文を頭の中に保持しておくことが必須の同時通訳者の初歩訓練にも用いられているトレーニングです。

なお、電車の中など、声を出すのが難しい(恥ずかしい)環境では、小声か口パク(マスクをすると口の動きも見えません)で行っても、音読したことのある英文であれば、脳の音声領域が反応しますから、同様の効果を得ることができます。